いつでも一番星
「……わたしでよければ、いくらでも応援しに行くよ。だから……、また観に行ってもいいかな?」
試合観戦ぐらい、別にこんな許可を取るようなことをしなくても自由に行けばいい。
それでもこうやってナツくんの反応を確かめるように聞いてしまったのは、わたしのずるさだ。
「もちろん、いいに決まってるよ。また応援しに来てくれたら俺も嬉しい」
わたしを友達だって思ってくれているナツくんならそう言ってくれるって、ほぼ確信しながら聞いたのだからわたしもなかなか質が悪いのかもしれない。
いいよって言ってもらうことで、ナツくんに拒まれない事実に安心しようとしているのだから。
「……ありがとう」
望んでいた言葉を聞けたというのに虚しさが残って、貼りつけていた笑顔をちゃんと保てていたのか自信がなかった。
お礼を言う内心では、気まずさからごめんねと謝っていた。
その後ちょうど会話が途切れるタイミングで横峰くんが帰ってきて、ナツくんはそのまま廊下で部誌を渡しながらその旨を伝えていた。
「助かったよー、ナツ。俺、持ってきてもらうまで忘れてきてたことさえ忘れてたわ」
「唯斗って、こういうところ抜けてるからな」
「あはは。ナツはその点、しっかりしてるもんな。わざわざ届けてくれて、ほんとサンキュー」
「いいよ、これぐらい。放課後までにちゃんと書いとけよ?」
「わかってるって。せっかく届けてもらったんだから、忘れずに書いとくよ」
ナツくんから受け取った部誌をひらひらと振りながら自信満々な顔で言う横峰くんに、ナツくんは心配そうに視線を寄越していた。