いつでも一番星

「でもそれなら、ナツくんも同じようにわたしの気持ちに気づいてたっておかしくないよね……。横峰くんがこんなに気づいてるのに、ナツくん自身が気づかないなんて……」


ここに移動する前にすでに横峰くんから聞いていたことを信じていないわけではないけど、話を聞けば聞くほど純粋にそんな疑問が湧いてくる。

本人以外が気づいて、本人が気づかないなんてことがあり得るの？

実は横峰くんが知らないだけで、ナツくんもすでにわたしの気持ちに勘づいてるんじゃ……。


「だからそれは大丈夫だって。平岡ちゃんみたいなタイプの子の好意なら、ナツは鈍感だから気づかねーもん」


難しい顔で悩んでいたわたしに、横峰くんはあっさりそう言い切った。

思わずきょとんとしてしまうと、くすりと笑われる。


「あいつモテるけど、結構疎いんだよなぁ。あからさまに親しくなろうって雰囲気醸し出してる子ならさすがに気づくらしいけど、平岡ちゃんみたいに好きって気持ちを押し付けないタイプの子にはとことん気づかねーみたいだから」

「そう、なんだ……」


ナツくんに知らぬ間に想いを気づかれていないのならいいけれど、あまり手放しで喜ぶことはできなかった。
ある意味それは、ナツくんへの片思いの難しさを証明しているようなものだから。

だって、ちょっとのアピールではナツくんにはわたしの想いが伝わらないってことでしょう？

今までそんなあからさまに何かしてきたわけじゃないけど、これまでわたしがナツくんに少しは近づけたかなと思っていた些細な瞬間が、一方的な錯覚だった可能性が出てくるんだ。

進んでいるようで、この片思いはずっとスタートラインで立ち止まっていたのかもしれない。