いつでも一番星
たぶん、試合形式で練習していたのだと思う。
先輩部員らしき人たちと新入生という感じで、チームがわかれているみたいだったから。
まだ着なれていないような練習着でマウンドに立つナツくんは少し違和感があったけど、白球を構えた表情は先輩たちに引けを取らなかった。
ピッチャーであれば誰にでもありそうな、何気ない光景。
だけど惹き付けられる理由は、それだけで十分だった。
現にそのときに見たナツくんの印象は、とても強くわたしの中に残って。
気がついたらよく、ナツくんを眺めるようになっていたぐらいだ。
そのときはクラスも違えば、何ひとつ接点すらなくて。
ナツくんのことで知っていることなんて、ほとんどなかった。
でも……自然と憧れた。
綺麗な姿勢で、芯の強い表情で、必死に練習に取り組むナツくんに。
マウンドで、誰よりも輝いて見えたナツくんに。
ここから見つけたナツくんの、羨ましくなるほどかっこいい姿に、わたしは憧れてるんだ。
「……頑張れ」
暗くなり始めたグラウンドが、照明で照らされている。
そこでまだ話し込んでいるナツくんに、そっとエールを送った。
一番星に祈るときと同じ、穏やかな気持ちで……。