いつでも一番星
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授業が終わるごとに訪れる休み時間。
最初のあのとき以降、その時間ごとにナツくんは黒板の上の方ばかり消してくれた。
わたしが消そうとするのよりも、必ず先に。
何も言わずに行動してくれていたけど、気遣ってくれているのはひしひしと伝わっていた。
優しいなぁ。
そう思うたびに表情がゆるんじゃうから、気づかれないように隠すのが大変だった。
だけどそんなそわそわする黒板消しの仕事も、あとはこの6時間目の数学が終わったときを残すだけ。
……と思っていたところで、まさかの仕事が増えた。
「日直さんにお願いなんだけど、課題に出していた問題集を集めて数学準備室まで持ってきてください。できれば、ホームルームが始まる前に」
数学担当の先生にそう言われたのは、授業終了のチャイムが鳴った直後のことだった。
机の引き出しから問題集を取り出しながら、頭の中で今からやらなくちゃいけないことを考える。
ええっと……。
まずは黒板を消して、それからみんなに問題集を出してもらって、それを数学準備室まで運ぶ。
うわ、ちょっと大変だ。
だって6時間目の授業が終わってホームルームが始まるまでの時間は、たったの5分しかない。
おまけに数学準備室は、教室棟からはそこそこ遠い校舎にある。
だから急がないとダメだよね!
そう思って休み時間に入ると問題集を持ち、すぐに席を立って黒板に向かった。
「あっ、平岡さん! ちょっと待って!」
でも、その途中で背中に投げかけられた言葉。
慌てて振り向くと、ナツくんが問題集を片手に立っていた。