いつでも一番星
「雫、これから頑張ろうね! あたしも協力するからさ!」
「あはは、ありがとう……」
すでに張り切っている茉理ちゃんの誤解を解くのも面倒だから、そのままにしておくことにした。
ナツくんのことに関して茉理ちゃんは、いつでも勘違いしているようなものだから……。
――キーンコーン……。
教室内に高らかに鳴り響いたのは、ホームルームの開始を告げるチャイム。
勝手に盛り上がり始めた茉理ちゃんをなだめていたわたしは、その音で重要なことを思い出した。
そうだ! ナツくんは帰ってきたのかな……?
茉理ちゃんをそっちのけで、ぞろぞろと自席に動き出したクラスメートたちの姿を追う。
だけどその中にナツくんは見当たらなくて、不安な気持ちが一気に広がった。
もしかして、間に合わなかった?
すると、その直後。
ガラッという音が聞こえてきて、それに反応したわたしは顔を右に向ける。
さっきの音はどうやら教室後方のドアが開かれた音だったらしく、ちょうどそこからナツくんが入ってくるところだった。
安堵して笑顔でナツくんを見ていると、視線に気づいたらしく微笑みを向けられる。
そしてナツくんは椅子に横向きに座ると、真っ直ぐわたしを見てきた。
間近で見つめられると、なんだか胸がくすぐったい。
そのせいでお礼を言おうと心の準備をしていたのに動揺してしまい、先にナツくんに口を開かれてしまった。
「平岡さん、黒板ありがとう。おかげで間に合ったよ」
綺麗な瞳に見つめられながら言われるお礼に、温かい気持ちになった。
緊張にはまだ慣れないけど、わたしもナツくんを真っ直ぐ見つめる。