いつでも一番星
高嶺の花
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「うわー! やっぱり何度見てもかっこいい!!」
生徒用昇降口を抜けて校舎に足を踏み込むと、すぐに広い玄関ホールに出迎えられる。
その突き当たりに掲げられている大きな掲示板。
控えめに隅に貼られている新聞記事を見るなり、ついつい心の声が盛大に漏れてしまった。
朝の空気に流されながら周りを行き交う生徒にじろじろと見られていることに気づき、慌てて口元を手で覆う。
だけど目の前の新聞記事の写真にしっかりと写っている人物を見ていると……ダメだ。
こぼれる笑みを完全に隠しきることなんて、到底できない。
完全にゆるんでしまった表情は、わたしの小さな手から簡単にはみだしてしまっていた。
「雫ー! おっはよー!!」
「あっ、茉理ちゃん! おはよー!」
うっとりと目の前のそれを眺めていると、今日も朝から元気な茉理ちゃんがわたしの横に立って肩を叩いてきた。
夢中になりすぎて、近づいてきてたことに全然気づかなかったよ。
「またこの記事見てたの? 好きだねー、雫。ナツのこと」
「えへへー! だって、かっこいいんだもーん」
そう言って、また目の前のそれに釘付けになった。
毎朝登校するなり、掲示板に貼られた新聞記事を目に焼きつけるように拝む。
それが、ここ最近のわたしの日課。
新聞記事が貼られた月曜日からだから、今日で4日目になる。
“南田高校、粘りでベスト4”
目の前の新聞記事の見出しには、太字でそう書かれていた。