いつでも一番星
秋季高等学校野球大会。
これはその大会の県大会でベスト4入りを果たした、我が南田高校野球部の活躍を取り上げたものだ。
残念ながら3位決定戦において負けてしまい、県大会の先の地区大会の方には進めなかったのだけど……。
それでも地方新聞は、南田高校野球部のことを結構大々的に紹介している。
写真と文章のスペースで言うならば、3位の座を勝ち取った高校よりも一回り大きいぐらいだ。
その理由はやっぱり、この1年で確実に南田高校が実力をつけてきているからだろう。
夏の選手権県大会でも、数十年ぶりに準々決勝まで進んだ。
だからこそ、野球部への期待は確実に大きくなっているんだ。
優勝して甲子園への切符を手にするところまではまだまだだと言う人もいれば、来年は必ず優勝できると太鼓判を押す人もいる。
わたしは野球のことは詳しくないから、他校との実力の差はわからない。
だけど……期待してる。
彼らなら、きっと確実に強くなっていくって。
そして、一番になれる日もくるって。
ナツくんの頑張りが報われてほしいから、余計にそう信じたいんだ。
写真の中で、真剣な瞳で球を投げているピッチャー。
この秋季の大会で一躍注目を集めた南田高校のエースである森山夏樹くんことナツくんは、……わたしの憧れの人だ。
「あっ、おはよーナツ!」
「おはよー」
ふと聞こえてきた名前と声に、いち早く身体が反応する。
振り返るとちょうど、朝練を終えた野球部の人たちが昇降口で上履きに履き替えているところだった。