いつでも一番星
ぐるぐると思考を巡らすけど、いまいち友達になったきっかけらしきものが浮かんでこない。
そもそも、ナツくんと関わった機会が少なすぎる。
数少ない機会の中で、ナツくんと一番接点を持ったのはあの金曜日ぐらいだ。
……えっ、まさか。
わたし、あの日からナツくんと友達になったの?
確かにいつもよりは話したりもしたけど、もしかしてあのときからってこと?
……よくわからないけど、とりあえず喜ぶべきことなのかもしれない。
だってあれだけ話しただけで、人気者のナツくんから友達の称号をもらえたんだもん。
ただのクラスメートから、友達へのステップアップ。
好きな人に少しでも近づけたのかなって考えると、もうきっかけなんてなんでもよかった。
ただ……嬉しいよ。
また、頬がだらしなくゆるんでしまいそうになる。
突っ立っていたままのわたしは、それを隠すように俯きながらやっとのことで椅子に腰をおろした。
「……なーんだ、ただの友達か。ふたり、すごく似合って……いだっ!」
「余計な茶々入れてるんじゃないわよ」
つまらなさそうに呟いた横峰くんの頭に、勢いよくチョップが落とされた。
大袈裟に痛がっている横峰くんを、茉理ちゃんは呆れたように笑って見ていた。
「いってーなぁ! なんで手出すんだよ!?」
「あんたのおしゃべりな口を止めようと思って」
「だったら口で言ってくれよ!」
幼なじみふたりの言い合いが始まる。
茉理ちゃんとしてはあれ以上横峰くんが茶化さないように止めてくれたのだろうけど、こうなってしまうとお礼を言うタイミングはない。