いつでも一番星


……そうだよね。

ナツくんも行くみたいだし、もしかすると本当に仲良くなれるチャンスかもしれない。

また緊張して、テンパってしまったらどうしようって気持ちもあるけど……。

少しでも長く一緒の時間を過ごせるなら、やっぱり一緒にいたいって思う。

だって、好きになっちゃったんだもん。


「……じゃあ、行ってみようかな!」


だから、眺めてるだけじゃなくて、近づきたいんだよ。

もっと、きみに……。



 ☆★☆



ナツくんたちがよく利用しているバッティングセンターにはバスで向かった。

普段わたしが登下校で乗るバスとは違い、乗ったバスは反対方向に向かって走る。

そして、バスに揺られて約20分。

大通りにあるバス停のひとつで降車し、そこから脇道に入って少し歩いたら、バッティングセンターに到着した。

どうやらここでは軟式と硬球の両方が打てるらしく、3人は中学生の頃から遊びに来ていたらしい。

おかげで勝手もよく知っているらしく、ずいずいと奥の方まで進んでいく。

みんなのあとについて立ち止まったのは、バッティングセンターの入り口から一番遠いゲージのところだった。

最奥のゲージには左打席、その手前には右打席という案内の貼り紙がある。


「どうする? 4人いるし、ペアにわかれたほうがいいかな?」


空いているふたつのゲージを見て、茉理ちゃんがみんなに問いかける。

同じようにゲージを覗きこんだナツくんと横峰くんは、それに賛同するように頷いた。


「そうしたほうがよさそうだな。じゃあ、じゃんけんで決め……」

「――俺、平岡さんとペアになるよ」


手を差し出した横峰くんの声を遮ったナツくんの声に、残り3人の表情が一斉に固まった。


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