いつでも一番星


わたしと茉理ちゃんと同じ2年2組の靴箱のところにいるナツくんは、クラスメートに笑顔で挨拶を返している。

その笑った顔は差し込んでくる朝日に照らされて、とても眩しかった。

練習後だというのに疲れひとつ感じさせない表情は爽やかで、白黒写真で見る姿よりもずっとずっと輝いて見える。

やっぱり、実物はかっこいいよ……!

わたしには、ナツくんの周りにだけラメが降っているみたいにきらきらして見える。
友達と話しながら教室に向かっていくその姿を、目を細めて見送った。


「もー。毎回毎回影からこそこそ眺めてないで、挨拶ぐらいすればいいのに! 好きなんでしょ?」


わたしよりも背が高い茉理ちゃん。
その後ろに隠れてナツくんを見ていたら、呆れた声でそう言われた。

唇を尖らせて反抗する。


「違うよー、好きとかそんなのじゃないってば! ナツくんには単に憧れてるだけなの。……それに、たとえ挨拶でも、声をかける勇気なんてないよ。ナツくん、人気者だし」


ナツくんの人気の高さを思うと、自然と息がこぼれた。


ナツくんは、とても人望を集める人だ。
それは新聞に取り上げられる前からのこと。

誰にでも分け隔てなく優しく接すること。人懐こい笑顔を浮かべながら話すこと。

ピッチャーとして、とても上手いこと。でもそれに自惚れることはまったくしなくて、必死に練習をする努力家で頑張り屋さんなところ。

そういう人として好かれやすい魅力を、ナツくんは持っている。

おまけに高身長でスタイルがいいし、笑顔が似合う顔はパーツのひとつひとつがとても綺麗。

そんな中身も外見も優れたナツくんだからこそ、人気者なんだ。


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