いつでも一番星


「そんなにもたくさんのスポーツができるなんて、バッティングセンターってすごいんだね。なんかもう、スポーツ施設みたい!」

「ある意味その解釈であってるかもね。バッセンって言っても、バッティング施設だけってところは聞いたことないし」


説明を終えたところで茉理ちゃんもごみ箱に向かう。

知らなかったバッティングセンターのことを聞けて、わたしは新たなことを学んだ気分になった。

みんなと一緒にここに来なければ知らないままだったのかと思うと、今日ってとても貴重な経験をしているのかもしれない。

ナツくんには直々に、バッティングを教えてもらったりもしているわけなのだから。

誘ってくれた横峰くんには感謝しなくちゃなぁ。


「ストラックアウトで思い出したけどさ、雫は文化祭で着るユニフォームTシャツどうするの?」


ごみ箱から戻ってきた茉理ちゃんは、案内ポスターからわたしへと視線を移す。

わたしはそれに、眉を八の字にしながら答えた。


「実は、どうしたらいいのか悩んでるんだよね……。自分でも持ってないし、借りられるような相手もいないから。文化祭のためだけに買うのももったいない気がするし……」


実は今年の文化祭で、2組はクラスの催しとしてストラックアウトをすることになっている。

その加減でクラスメート全員は客寄せのために、野球にちなんで野球関連のユニフォームTシャツを着ることが決まった。

野球関連のユニフォームなら何でもいいらしい。
プロの球団の応援ユニフォームでも、兄弟が野球部ならそのユニフォームでも。

だけど我が家には1着も応援ユニフォームはないし、貸してもらえるような野球部の親戚もいない。

だからとても、困ってるんだ。


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