いつでも一番星


「そっかー、買うのももったいないしそれは悩むね。あたしが貸してあげられたらいいんだけど、あいにく自分のぶん1着しかないからなぁ……」

「そうだよねー。なかなかみんな、たくさんは持ってないよね」


わたしみたいに準備ができそうにない人のために、文化祭委員の子ができるだけ野球好きの知り合いなどから借りて用意するとは言っていた。

でもその数はきっとそこまで多くないだろうから、あまり期待もできない。

自分で用意せずに当日を迎えて、着るものがないってなるのも嫌だしなぁ……。
やっぱり、何とか着るものは確保した方がいいかもしれない。

……でも、どうやって?


「中学時代のユニフォームでよければ貸そうか?」


困り果てて俯きながらふうっとため息をついたわたしの耳に、思いがけない言葉が舞い込んできた。

驚いて顔を上げると、ナツくんがわたしを見ながらもう一度言った。


「俺、中学のときの野球部のユニフォーム残してあるんだ。だから平岡さん、ユニフォームのあてがないならそれ貸すよ」

「えっ、いいの……!?」

「もちろん。俺は今部活で着てるユニフォームがあるから、中学のやつは着ないしさ」

「……でもそれって、思い出に残してあるんだよね? 大事なユニフォームなのに、わたしなんかが借りちゃっていいのかな?」


一瞬は助かったって思ったけど、よくよく考えるとそう尋ねずにはいられなかった。

ナツくん、思い出の品とか、大事に保管していそうだからなぁ。
残してあると言われたものだと、何だか借りるのも気が引けてしまう。


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