いつでも一番星


――なんて。

友達になったばかりのわたしが偉そうかな? 単なるわがままになっちゃうかな?

でも、本当にそうなりたいって思ったんだよ。

ナツくんの笑顔にときめくのと同時に、強く、そう思ったんだ。


「……そうだ! 文化祭の参考に、せっかくだからストラックアウトもやろうよ」

「ナツ、そう言って単に自分がボール投げたいだけだろ?」

「あっ、バレたか」


ナツくんと横峰くんのやりとりに茉理ちゃんと一緒に笑った。

ナツくんはへへっと笑いながらすでに立っていて、早くストラックアウトをやりに行きたい様子だ。

その顔はもう、野球のことしか考えていないみたい。

本当にナツくんは、野球が好きなんだなぁ。



そのあと、みんなでストラックアウトに挑んだ結果。

なんとナツくんは、見事に9枚のパネルをすべて打ち抜いていた。

さすがやりたかっただけあってボールを投げる姿は登板中並みに真剣だったけど、まさか全部を打ち抜くなんて……。
やっぱりナツくんは、すごいピッチャーなんだ。

ナツくんに対抗して横峰くんも気合いを入れて投げていたけど、開いたパネルは5枚。
悔しそうにしていたけど、コントロールは十分あったと思う。

茉理ちゃんは2枚で、ビンゴが達成できなかったのを残念そうにしていた。

ちなみに、わたしはというと……。


「平岡さん、手の力だけで投げちゃダメだってば! ちゃんと体重移動して踏み込まないと!」

「わっ、わかった……」


もはや投げたボールがパネルのもとにまで届かないという悲惨なありさまで、バッティング同様にナツくんの指導を受けていた。


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