いつでも一番星


わたしも壁にもたれてナツくんを見た。

試合のときみたいに本気で投げてはいないみたいで、スピードはそこまで出ていない。
だけど真剣そのものな表情のナツくんに投げられたボールは、やっぱり確実にパネルを打ち抜いていく。

狙ったとおりに上手くボールを投げられるごとに、ナツくんは本当に嬉しそうに笑っていた。


「ナツくん、楽しそうだね」


わたしが小さく呟いた声に、茉理ちゃんと横峰くんも無言のまま頷く。

誰が見てもそう思うくらい、ボールを投げるナツくんは楽しくて仕方ないというオーラが出ていた。

野球が大好きなナツくんの一面を近くで見られて、わたしはとても、特別な時間を過ごせたように思う。

ナツくんが投げ終わるまで、弾ける笑顔をずっと見ていた。

わたしも、楽しい気持ちになりながら。




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