いつでも一番星
ものすごく今さらだけど、自分の状況がとてもよろしくないことに気づいた。
散々見つめて喜んでいたんだから、本当に今さらなんだけど……。
気まずさや恥ずかしさ。色んな感情が入り混ざって、余計にパニックに陥っていく。
ていうか、できればまだ気づかれてませんように!!
確率が低いそれに望みをかけて、確認のために再び窓の外に目を向ける。
おそるおそる視線がとらえたその先で……ナツくんは、立ち止まっていた。
しかもわたしがその姿を確認した途端に、あろうことか、明らかにこっちを向いて手を振り始めた。
……ぜっ、絶対にわたしに気づいてるよね。
恐らくここにいるのがわたしだってことにも気づいているはず。
だって知り合いじゃないと、手なんてわざわざ振らないだろうし……。
「……っ!」
ナツくんに気づかれたなんて、恥ずかしすぎる。
今すぐに逃げたい。消え去りたい。……でも、そんなことできない。
だってナツくん、なぜかずっと手を振り続けてるんだもん。
こんな明らかに怪しいわたしに、振り返してもらうのを待っているみたいに。
ちょっと躊躇ったけど、胸の高さで小さく手を振り返した。
どうせばれてるんだから、って。自棄になって恥ずかしさを誤魔化しながら。
わたしが手を振り返したことに気づいたナツくんは、グラウンドの脇道から被服室の方に向かって歩いてくる。
まだ逃げたい気持ちも残っていたけどナツくんを無視するわけにもいかなくて、わたしは窓を開けて出迎えることにした。