梅酒で乾杯
*
毎日は流れるように過ぎ、約束の金曜まではあっという間だった。
レジの前の棚を片付けていると、後ろから声をかけられる。
「実加さん、こんにちは」
泰明くんだ。右手にはいつものお弁当を持っている。あたしは慌ててレジに入る。
「毎度あり。今日はお弁当?」
「うん。疲れたもん。午前中講義びっしりで、路上教習もしてきたし」
「あはは、お疲れ」
話しながらレジを打っていると、スーツ姿の亘が入ってくる。目配せをしつつ、「いらっしゃいませ」と決まり文句を口にする。
「実加さん、彼氏じゃない?」
泰明くんは秘密の話でもするように、あたしに顔を近づけて尋ねた。
「そう。今日出かける約束してるんだ」
「へぇ。楽しんできてね」
泰明くんは笑って支払いを済ませると、すれ違いざま亘に軽く会釈をして店を出て行った。見知らぬ人に礼をされて、亘の方はきょとんとした顔をしている。
「……誰?」
「常連のお客さん。亘の後輩になるらしいよ。大学で見たことなかった?」
「何年生?」
「今二年って言ってたから、亘がいた時は一年生だね」
「じゃあわかんねーな。同じ学校って言ったって広いからな」
「だね。……もう終わりだから片づけてくるね」
交代のバイトの人が来たのを確認して、あたしは裏に下がった。
毎日は流れるように過ぎ、約束の金曜まではあっという間だった。
レジの前の棚を片付けていると、後ろから声をかけられる。
「実加さん、こんにちは」
泰明くんだ。右手にはいつものお弁当を持っている。あたしは慌ててレジに入る。
「毎度あり。今日はお弁当?」
「うん。疲れたもん。午前中講義びっしりで、路上教習もしてきたし」
「あはは、お疲れ」
話しながらレジを打っていると、スーツ姿の亘が入ってくる。目配せをしつつ、「いらっしゃいませ」と決まり文句を口にする。
「実加さん、彼氏じゃない?」
泰明くんは秘密の話でもするように、あたしに顔を近づけて尋ねた。
「そう。今日出かける約束してるんだ」
「へぇ。楽しんできてね」
泰明くんは笑って支払いを済ませると、すれ違いざま亘に軽く会釈をして店を出て行った。見知らぬ人に礼をされて、亘の方はきょとんとした顔をしている。
「……誰?」
「常連のお客さん。亘の後輩になるらしいよ。大学で見たことなかった?」
「何年生?」
「今二年って言ってたから、亘がいた時は一年生だね」
「じゃあわかんねーな。同じ学校って言ったって広いからな」
「だね。……もう終わりだから片づけてくるね」
交代のバイトの人が来たのを確認して、あたしは裏に下がった。