梅酒で乾杯
高校一年のとき、あたしは部活の先輩だった彼に恋をした。
どんくさいあたしは、自分に自信を持つこともが出来ず、中々自分の気持ちを伝えられなれなかった。
ようやく勇気が出して告白できたのは、彼が大学に合格して、もう離れ離れになることが決まってしまってからだ。
新しい生活に踏み込んで行く彼が、了承してくれるなんて思わなかったのに、彼は笑ってあたしの気持ちを受け止めてくれた。
あたしは彼を追いかけたかった。
それから一年間、気が狂ったように勉強した。彼と、同じ大学に行きたかったから。
もう死ぬんじゃないかってくらい頑張ったつもりだったのに、それは叶わなかった。
それでも諦められなくて、彼と同じ場所に立ちたくて、もう一年死に物狂いで勉強した。
今、合格できれば二年間は一緒に大学生活を送れるから。
そんな風に、必死に立ち向かった受験。
神様にはあたしの邪な理由が気に入らなかったのだろうか。
模試の判定では合格ラインまで達していたはずだったのに、結果は不合格だった。
あたしは、再び受験戦争に負けた。
そして同時に、自分自身を見失ってしまったのだ。
自分の全てを否定されたような気持ちがして、外に出るのが怖くなった。
笑顔で挨拶する近所のおばさんも、キャッキャッと笑い声をあげる子どもたちも、皆あたしの失敗を笑っているような気がして。
半分鬱になったような状態で、自室にこもって毎日を過ごした。