恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「今更、なんだ? さんざん、早くしろ。寝室に入れだの……せかしたのはお前だ」
「誤解ですよ。それはですね、実は今朝……」
私の言いたい言葉は、課長の口の中に飲み込まれていった。
押し付けられる唇、重い体に乗られて身動きが出来なかった。
左手は、課長の左手と合わさり、ベッドの上で恋人みたいに繋がれる。
「うっ……ん!」
ーーー体が動かないなら!
私は後頭部を思い切り枕にめりこむくらいに押し付けた。次に反動を利用し課長の額めがけて自分の額をガツンと当てた。
「いてっ!」
課長が顔を上げたときを狙い、再び額をガツンと当てる。まるで、サッカー選手が狙いを定めてヘディングをするみたいにだ。
思い切りよく課長の額に私の頭が当たった。課長は、額をおさえてベッドに起き上がった。
「なにすんだよ! 山田!」
「課長こそ、何考えてるんですか!」
額をおさえてベッドに座る課長が、恨めしそうに私を見ていた。
教訓★
使えるものは、何でも使う。いつもはさほど頼りにならない頭も使いようだ。
そういうことだ。