恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜

焼き肉を上野課長の奢りで食べて、やっと精神的にも肉体的にも満たされていた。


マンションのエレベーター前、課長が持っていてくれた花束を渡してきた。


「ほら、持て。お前にやった花なんだから」

「ありがとうございます。でも、本当に花なんか、なんで買ってきたんです?」


「……遅れたからな」

「そんな理由で花束?」

エレベーターが来て扉が開いた。
乗り込んで3と4の階数ボタンを押した課長。

「俺自身も不思議なんだ。お前に花束なんかやってご機嫌とる必要ないのに。お前の笑顔がみたくて、つい花屋に寄ってたんだからな」
ふっと笑ってみせる課長。


ーーーえ? 何その顔。

上野課長のみんなに見せてるいつもの八方美人的な笑顔じゃなくて、少年が純粋にみせるはにかんだような笑顔だった。


その顔を見て、私の心臓が急に走った時みたいにバクバクしていた。

ーーー動悸、息切れだよ。めまいまでしそう。病気かも。
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