恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
ふと、目を覚ますと何かにセミみたいにしがみついていることに気づいた。
ーーーなんだろ? これは?
目を凝らしてみると、グレーの大きな物体であり、指で押すと弾力性がある。絡みつかせていた足をその物体から下ろしてベッドに起き上がってみた。
「ぐぇっ! 課長じゃん!」
数センチ後ろに飛び退いた私。危うくベッドから落ちる所だ。
私のベッドで、のうのうと寝ているのはまさしくグレーのスウェット上下を着た上野課長だった。
課長は、規則正しい寝息を立てて寝ている。
揺すり起こそうとして、課長の肩に手を置いた。
すると、ごろんと寝返りをうつ課長。私の方へ顔を向けた。
ーーーなんかとっても無防備に寝てるよ。人のベッドで勝手になんなの?
私は、少し乗り出して課長の顔を眺めた。
子供みたいに無防備で、両手を万歳みたいにして頭の横に上げた。
ーーー可愛いふりしてもダメなんだから。私のベッドに勝手に寝ないでよね!
課長の肩を揺すろうとして、ふと鳴き声に気がついた。
ーーーまただ。
ベッドサイドの時計を見ると3時45分だ。