恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
立ち上がった紗季は、私が伸ばした手を掴んでくれた。
ーーー良かった。紗季。紗季は、わかってくれる。そう思っていたよ。
安心したのは、ほんの一瞬だった。紗季は私の手をあろうことか課長に粗品みたいに持って差し出したのだ。
「課長、じゃあ任せましたよ。ユイカのことよろしくお願いしますね?」
「わかってる。大丈夫だ。悪いようにはしない」
紗季から渡された私の手をしっかり握る課長。
「紗季!」
「お邪魔虫は、退散するね」肩をすくめて、にっこり微笑んだ紗季は、お盆を持ちテーブルを離れていく。
ーーー紗季、お邪魔虫って死語、死語だから!
残された私の前には、スカした顔して私の手を握ったまま椅子に座る課長がいた。