恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
ボヤけた頭をなんとか通常使用に戻しておきたかった。
ーーーこのままじゃ、私が課長に惚れたと思われかねない。そして、課長にそれみたことかって、笑われる。
そんなのは屈辱的すぎる。私は決めたことは、やり通す。信念は曲げない。どんなことがあっても!
「課長! やめてください。私、課長のことは……」
まっすぐ課長に向き合った。
「好きじゃないので、全然、全く……絶対に惚れません! 絶対に」
自分に言い聞かせるみたいに繰り返して言った。
ーーー絶対に。絶対に惚れない。
課長は、少し驚いたように目を見開いた。それから、少しだけ息を吐く。
「いつものユイカだな……」
なんとなくホッとしたように私の頭をポンと叩いた課長は、立ち上がり「先に入るぞ。風呂」と言った。
「ど、どうぞどうぞ」
課長が離れてから、肩をがっくしと落としていた。
ーーー何してんだろ。私。
長い間、マンションを購入するために金の亡者になっていた。友達が結婚しても憧れたり嫉妬したりもしなかった。
夢だったから、私が私のお金で買う自分だけの城を持つことが。
その目標に突っ走ってきた。
30歳になり、マンションも手に入った。あとは、出来るだけ早くローンを払い終えるだけ。
それだけ?
それだけの人生?