恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「お前が俺をどう思おうと構わない」
「構わないって……」
ーーー私の気持ちは、関係ないの?
ぴたりと私に寄り添う課長。頬を撫でる指先。急にやってきた淡い桃色な雰囲気に思わず腕がチキン肌になる。
「俺がお前に惚れてるのは間違いない」
顎に指先がかかる。だんだんと開いていた口に力が入らなくなってきていた。
「惚れさせるために課長は嘘までつくんですね」
「嘘だと思うか?」
まっすぐに見つめられて、課長の瞳に飲み込まれそうになる。
「う……」
近づいてくる課長の顔。
ーーー流されたらダメ!
課長の両頬を両手で挟む。むぎゅっとつぶれた課長の顔。
「なんの真似だ」
「新しいキス封じの技です」
「お前、そんなのが通用すると?」
課長の両手が私の両手首を掴んで、課長の顔から私の手を離させた。
力を必死に入れていたが、課長には叶わなかった。
再び近づく課長の顔。抑えられたままの両手。
ーーーこれ以上ムリ! 力が出ない!