恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
恋の形
課長のおかげで、会社を休むことが出来た。あの例の犬のせいで頭痛も酷い。
ーーー不動産屋に電話して真相を聞かないと。
課長の家にいて、朝出勤する課長を玄関で見送った。
玄関で靴を履いた課長が、くるりとこちらに向いた。
「じゃあ、会社のことは心配する必要はない。お前一人休んでも会社は潰れないからな。とにかく、今日お前がするべき仕事は、あの部屋にまつわる真相をつきとめることだ」
ーーー仕事って……全く。もっと優しく言えないのかなぁ。
「はい、わかりました」
「何かあったら、電話しろ」
「はい、わかってます」
ーーー細かい。確認事項が多すぎる。
うんざりしながら、痛むこめかみを指で抑えた。
「頭でも痛いのか?」
課長が私のこめかみに手を伸ばす。
「はい。結構、痛いんです」
すると、課長は身体を前傾させ首をのばして私の頭に断りもなしにキスをした。
「無理は、するな。俺のベッドも勝手に使って寝ていいからな?」
「はあ、どうも」
ーーーなんだか、調子狂うな。優しいのか優しくないのか……。
「行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
何気なく言った私の言葉に課長が、目を大きくした。