恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜


話の途中で課長は高級そうな腕時計を見た。
「時間だ。戻るぞ」


「柵なんかつけませんから」裏道から出ようとする課長の背中に言った。



課長が振り向いて何か言いかけた時に、私は地面に広がる液体に足を取られた。油みたいなヌルってしたものだ。


「あっ!」

後ろに倒れかけた私を正面から腕を伸ばした課長が支えてくれた。引き寄せられた私の体に被さるように私を支える課長の体が密着した。

度肝を抜く状態で、私は目を見開いていた。


ーーー信じられない……


課長の顔がやけに目の前にきて、唐突に唇と唇が触れた。わざとでは無い。その証拠に唇が痛かったから。歯も当たったみたいだ。

指先で触れてみたが、出血はしてないみたいでホッとした。


体勢を立て直して、スーツの乱れをなおす課長。課長の唇から血がでていた。




「課長、血が出てます」

課長は、手の甲で唇を拭った。

「大丈夫だ」

ーーー大丈夫? そうじゃなくて! 他に私に言うこと無いわけ?
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