恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「あの、失礼ですが……」
背の高い男性を見上げて話しかけてみた。
案の定、男性こそ404号室に住んでいた女性のフィアンセだった。
「……七郎が貴方の枕元に……」
一連の出来事を話すと、初め驚いていた男性。
七郎というのは、犬の名前だと言う。
男性は涙ぐみ始めて、あろうことか、私の手をとった。
「お願いがあります……」
キラキラした瞳で見つめられ、手を握られていた。
「えっと……」
ドキドキして困って視線を彷徨わせていたら、偉く面倒な人と目が合ってしまった。
「か、課長!」
上野課長が苦虫を噛み潰したような顔で突っ立っていた。
「………あ、課長、まさかなんか誤解してます? いや、この人は今さっき会ったばかりで……」
ムッとした顔で、こっちに歩いてくる課長。
「今会ったばかりの男と、お前って女は手を握るのか? 尻軽だな」