恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜


夜になり、私はテーブルの向かいに座る課長を睨んだ。

「課長、どうして勝手に阿部さんを私の城に泊めるなんて決めてるんですか!」


課長の家で、課長お手製のナポリタンに粉チーズを意地になって振りかけていた。


「粉チーズは、馬鹿みたいに振りかけるな。チーズくさい」

「課長、タバスコのかけすぎですよ!」

タバスコを鬼のように振りかける課長。

「辛いのが好きなんだから仕方ないだろ」

「体に悪いし、味オンチがやることでしょう、それは……」

「知ってるか? よく見ろ。俺がタバスコをかけてるのは、皿の右半分だ。左半分は、かけていない。まんまナポリタンの味も楽しめる」

「はあ、そうですか。そんなのは、どうでもいいんですよ。阿部さんですよ。阿部さん」


今現在、阿部さんは私の城にいる。課長が相談もなく阿部さんに私の城へ泊まれば? と提案したのだ。

明日は、404号室の彼女、奈緒さんと犬の七郎の命日だ。

だから、
「間違いなく出る」と課長が言ったのだ。それに、阿部さんも奈緒さんに会いたいと、私に頼んできたのだ。


「奈緒に、会わせてください」
涙目で懇願された。
そこまで言われたら、承諾するしかなかったし、むげに断われなかった。



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