恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜

「断われるか? 恋人に会いたいっていう人の願いに山田は力を貸したくないのか?」

「ですけど……」

「まあ、お前は買った部屋は、まんまと事故が起きていたって訳だな。……人が亡くなったばかりの物件を買わされたのがお前の運のつきだ」


「運のつきって……ひどっ! だって、私は聞いたんですよ。買うときにちゃんと。でも、事故の女性の後に一回でも入居者がいる物件は、そういう事故の事を知らせなくてもいいんだそうで……」


「それも、不動産屋の手の内だな。事故物件は、不動産屋がわざとすぐに入居者を入れるもんだ。そうすれば、その後の入居者に説明する必要はなくなるからな。わざとそのためにバイトを雇うくらいだ」

私は、大きなため息をついた。
「はあ〜なんか……大丈夫かなあ。あの犬。阿部さんに会ったら嬉しくなって、もう、思い残すことがないなって風になりますかね?」


「さあな。嬉しくて、反対に居座るかもな」うっすらと笑う課長。


「困ります! そんなの」

「困るか?」
課長は、フォークに綺麗にパスタを巻いていた。

「そりゃそうですよ。私の城が霊にのっとられたら、一体私は、どこにすめばいいんですか」

「俺の家に住めばいいだろ?」
こともなげにいってくる課長。簡単に言う課長の気が知れない。

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