恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「汗が……」
額に冷たい雫が落ちてきた。
「汗? かいてない……、冷たっ!」
首筋をおさえる課長。
天井を見上げると、シミがどんどん広がってきていた。
「上だ!」
私と課長は、跳ね上がるようにして立ち玄関へとダッシュした。
急いで、404号室。つまり、私の部屋に向かった。
ピンポンピンポンピンポン!
チャイムの音にも中にいるはずの阿部さんは反応しなかった。誰も出てこない。
「鍵だ! 鍵だせ」
焦りすぎて鍵をポケットから出してすぐに地面に落としてしまった。
「焦るな! 山田」
「そうは言っても……」
鍵を拾い上げた時、ゆっくりとドアが開いた。
「阿部さん! 何かあっ!」固まる課長の背中に隠れながら、開くドアを見た。
「きゃあああああああああ!!」
私は思わず長く息が続く限りの叫び声を上げていた。