恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
驚いたことに、急いで部屋に帰ると水が引いていた。
跡形もなくなくなっていた。水なんか初めから無かったようで、むしろ、ワックスでもかけたくらいに綺麗だった。
「課長、拭いてくれました?」
「あ?俺が? いつ」
「今とか……」
「バカ言え。お前と一緒にいただろ。いつ拭くんだよ」
「ですよね」
寝室もバスルームもリビングも綺麗に片付いてピカピカだ。
「じゃあ、奈緒さんと七郎ですかね?」
「片付けて床を拭く霊か? そりゃ、助かるな。お前、ツイテルよ」
「え? ついてるって、どっちの意味ですか? ツキがあるのついてる、なのか、霊がついてるのついてるなのか」
課長は、どさっとベッドに腰を下ろした。
「そんなのはどっちでもいい。で、お前は今日から自分の家で寝られるのか?」
長い足を組んで、課長が言う。