恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
アンケート用紙が回ってきて、隣の課長に渡す時に指先が触れた。
ほんの少しだ。
なのに、手にしていたボールペンがテーブルに当たり、かたかた震えた。
「おい、かたかたうるさいぞ」
顔を近づけて注意してくる課長。
「ひっ!」
慌てて体を課長から離す。
ーーーどうしよう。震えが止まらない。いい歳して……こんなに震えて……馬鹿みたい!
それでも、今度は膝がガクガクしだした。
「すいません! あのちょっとトイレに」
これ以上、課長のそばにいられない。いたら、私が課長に完全に負けたのを知られてしまう。
それに、課長は私なんか好きじゃない。私にちょっかい出すのは、なびかない女をおとしたいから。ゲームみたいに楽しみたい、それだけの話。
だから、決めたのに。
傷つきたくないから、決めたのに。
立ち上がり、廊下に出てから震える唇を噛み締めた。