恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
駆け出してトイレの個室に入った。
便座に座り、上野課長のタイプじゃないと言われたくらいで馬鹿みたいにショックをうけた私。
ーーー我ながら、ウケる。
アレだけ好きにならないと、一線をひいていた相手なのに。
大きくため息をついて、私は頭を振った。
「今は仕事。仕事に集中しなくちゃ」
自分を奮い立たせて、個室を出て手を洗った。
トイレから出てすぐに飛び上がるほど、びっくりしていた。出入口の側の壁にもたれて立つ上野課長がいたからだ。
「さっきのアレ、なんだ?」
「え? さっきの?」
「神島だ。お前の髪を……」
歯ぎしりするように口を曲げる上野課長は、拳をギリギリと自分のもう片方の手にめり込ませていた。
ーーーあ、髪? さっき神島課長が急に触ってきたけど…あれ、見てたの?