恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
上野課長は、私の目の前に立ち二の腕を両方掴んだ。
私の目線に自分の視線を合わせてくる課長。
「……やめろ、そんな嘘つくな」
「嘘なんて言いません。私は初めから……」
私が話しているのに無理に上野課長が私ね二の腕をひっぱった。
「ちょっと……課長!」
引っ張られて少し歩き、ひと気のない廊下の角で立ち止まった。
背中が壁に押し付けられた。それでも課長を見られずに私は俯いていた。
「山田、俺を見られるか?」
「……」
少しずつ顔を上げ、課長の目を見る。途端にくじけそうになる自分の気持ちをなんとか持ちこたえていた。
「課長、もうやめて下さい。好きでもないのに私なんかに時間さくなんて……もったいないですから」
「誰が誰を好きじゃないんだ?」
怒ったように少し釣り上がる課長の瞳。
「課長が私をですよ。私が課長になびかないのが面白くないだけなんですよね?そんなこと……無駄ですから……」
課長から視線を逸らし、俯いていた。
痛いほどに両方の腕を握られていた。
「無駄だと?」
「はい、無駄なんです! 私は課長なんっ!!」
噛み付くように塞がれた唇。押し付けるようなキスに課長の苛立ちを感じた。
震える私の体。全身の力が抜けていく。
壁に縫い付けられて動けなくなったみたいに。私は、上野課長から激しいくちづけを受けていた。