恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「わあ!!ドロボー!」
テーブルにあった湯豆腐を勝手に座り食べている課長。
「しかも、私の箸じゃん!」課長の肩をバシバシ叩いて椅子から立たせた。
「いてててっ! やめろ!たかが、豆腐だろ」
「信じられない! あっ!」
私がら飲みかけていた缶ビールを掴んでグビグビ飲む課長。
「やめて! 私のビールなのにぃ」
悔しいのを通り越して泣きそうだった。大嫌いないじめっ子に、大事な宝物を次々荒らされる気分だった。
缶ビールを取りかえそうとして、ピョンピョン跳ねていたが、課長の喉仏が上下するのを何度か見ていたら、取り返す気力もなくなり、切なくなって床に座り込んでいた。
ーーー最悪だよ。なんだよ……こいつ。これでも上司?
「おい、つまみコレだけ?」
また椅子に座り、まるでこの家の主人みたいな顔して言う。
「知りません」
「何、山田怒ってんの? 短気だな」
「……」
「山田泣いてんの?」
どうやら、私は気がつかないうちに泣いていたようだ。
指で目の下を触る。
ーーー濡れてる。
「かぁ! そんなんで泣くってありえない。俺が家に入ってきてさ、喜ぶ女はいても泣く女は山田〜お前が初めてだ」
呆れたように言いながら、枝豆を口に入れる課長。
ーーーなんなんだ? いったい、この男……。
私は、手の甲で涙を拭った。
ーーーやる、やってやる! 私はこうと決めたらヤる女だ。
この男だけは、上司であろうと許さない。断固戦う。絶対に負けない。
いつでも戦ってみせる!