恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
ファイティングポーズをとり、ジャブを打つ。そのまま近づく。
ひるんだ所をパンチだ! で、外へ追い出す。

計画もシュミレーションも完璧だ。




ファイティングポーズをとり、ジャブを打つ。

気がつかないのか、横にいる私を見ないで湯豆腐を平らげる課長。

ーーー見てない! チャンスだ。ストレート!

まっすぐに伸ばした拳が、ギュッと壊れそうなくらいに課長の大きい手に握られた。


「いてててて!! て〜〜……」

「山田、本気でやってんのか?」


「本気ですよ! 戦いましょうよ。……湯豆腐は食べられたから、枝豆の残りと缶ビール一本かけて!」


「そんなんでやれるか、馬鹿らしい」


「じゃあ、アジフライ……かけましょうよ」

ーーー今日の晩御飯のおかず。商店街で買ってきたアジフライ。今日は、アジフライの気分だった。断然アジフライ。

だが、仕方ない。

大丈夫。勝てる。負ける気がしないんだから。


私の方を見た課長は、「アジフライか……もたれそうだな」と呟いた。


「もたれるとか、ジジクサイ」

「なんだと? ジジクサイ? そんなこと初めて言われた」
立ち上がる課長。


「よし、受けてやる。って何で戦うつもりだよ」

「無論! ボクシングですよ! 隙あり!」

立った課長の顎を狙ってパンチをくりだした。本気だった。

私の城に汚れた足で入ってきた罰だ!!

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