恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
ーーー良かった。まだ、くさい飯は、食いたくない。
課長の事は嫌いだが、だからって怪我をさせたりしたかった訳じゃない。少し痛い目に合わせてやりたかっただけだ。
「おい、山田」
「へ?」顔を上げる。
「いい加減に離れろ。それとも……」
そうだった。嬉しさのあまり倒れた課長に抱きついていたんだった……。
黒い笑い顔を見せた課長の腕が、私をホールドしてしまう。
「うっ! 苦しっ」
課長に抱きしめられるどころか、羽交い締めされていた。
フローリングの床に寝てホールドされている図は、想像したくなかった。
腕だけじゃなく、私がジタバタしないように足まで絡めてくる課長。
「課長! ギブギブギブ!」
課長の腕をタップする。一瞬、ゆるまったと思われたが、ごろんと回転して、私がフローリングの床に背中をつけていた。
課長の顔が私の顔の目の前にあった。一瞬のうちに忌まわしい出来事が思い出されていた。