恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
細心の注意を払い、上野課長と間違っても鉢合わせしないようにいつもと違う路線を使い、いつもと違う駅でおりた。
幸いにも私の住むマンションの近くには、JRの駅とそうではない路線の駅が二つがある。
どちらも同じくらいの距離に位置する。そういう交通に便利な点も気に入りマンション購入を決めたのだから。
ーーー良かった。本当に。こういう時に交通の便利なところで有難いわ〜。
こういう時にとは、嘘をついた時にと言う意味であれば、少しばかり妙な話だが今はそれどころではない。
絶対に上野課長に神島課長とのデートがあると嘘をついたことは知られたくない。
ーーー知られたら、私のプライドが傷つくもん。
私のプライドなんて大したものでは無かったが、やはり予定のない暇な女とは馬鹿にされたくない。他の人ならいざ知らず、上野課長には負けられない。
ーーー弱みを握られてたまるか。私は、年中暇な女じゃないの。あの神島課長にデートに誘われるようないい女なの。
実際は、全然暇だし……。神島課長と話した事もないけど……。
いいの、いいの。
自信満々の上野課長の天狗鼻を少しでも低く出来れば。私は気が済むんだから。
いつもと違う駅で降りて、いつもと違うスーパーへ入った。