恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「山田、じゃあ今日俺んとこに来られるな?」
並んで歩きながら、課長を見上げた。
「マットレスですか? 必要ないですよ。昨日は落ちなかったし」
「心配なんだよ」
「床が……ですか?」
「お前が」
ーーーえ?お前が? 嘘? 床に勝ったの? 私、心配されてんの?
ハテナマークの嵐が渦巻く頭のまま、ぼんやり見上げると課長の手が伸びてきて、私の頭をなでなでする。
「これ以上、阿呆になったら困るだろ?」
「阿呆にならないかの心配ですか? うわー、最低」
頭をなでなでする課長の手を掴んで下げさせた。
「俺は最低ではない。最高の間違いだろ。少なくても神島よりは、遥かに良いやつだ」
「本当に良い人は、自分で言いませんよ」
「勘が悪いな。お前は。だから、神島なんかに引っかかるんだろ? いいか。神島はやめとけ」
課長が、ギュッと私の手を握ってきた。
ーーーやだ、何? どさくさに紛れてない?
「課長、手、なんですか?」
握られた手を上げてみる。
「神島は……やめとけ」
真面目くさって私に言う上野課長の瞳を見つめた。
ーーーそんなにライバル視してるんだぁ。これは……
私は、ニッコリ笑って見せた。