恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「だから、なんですか?」
「短気だな。お前は。缶詰めには缶切り、瓶ビールには栓抜き、ワインにはワインオープナー。女には、男。昔から決まってるんだ」
「はあ? なんですか? それ」
「山田、そこに山があるから山を登る。それと同じで、そこに異性がいるから恋をする。だから、もっと求めるべきだ。お前もお前に合う男をな」
ーーーくだらない。何が山よ。何が恋よ。恥ずかしい上司だよ、この人。そんなことが言いたかったの?
「あ、言っておくが俺は駄目だ。俺にその気がない。お前は俺に不釣り合いだからな」
ーーーなんなの。その言い方。私がまるで、ものすごく底辺な女になったみたいな気がする。
「私にも選ぶ権利ありますので、間違っても頼まれても上野課長は選びません! ご安心ください」
「俺も頼まないから、安心しろ」
呆気にとられて、課長を見た。
ーーー本当に口の減らない男。
「もういいから帰ってくれません? 上野さん」
「マットレスのお礼に桃缶一ついいか?」
「お礼にって、勝手に決めるんだ? ヘェ〜お好きにどうぞ」
どうでもいいから、早く帰ってもらいたかった。城でゆっくりしたいのに。
ーーー本当に嫌な男だ。勝手過ぎるし、口も悪い。マジでこんな男は、頼まれても付き合わない。釣り合いが取れないって? どの口がそんなバカなことを言うかなぁ!
課長の口をぶっとい針で縫い付けてやりたかったが、妄想だけにとどめた。
玄関で課長が出て行くのを見送り、ドアが閉まるとホッとして息をついた。
★教訓
自分勝手な男は、頭の中も自分勝手に出来ている。そんな男には、反論しても無意味であることをあらかじめ学ぶべきである。