恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「嫌か?」
「当たり前ですよ。なんで課長と手なんか……」
力を入れて、突っ張ったままの私の手。指に課長の手が合わせられた。
長くて大きな課長の手に私の手がすっぽりとかくれる。
触れた掌に緊張してきていた。
「手、小さいな」
「あ、当たり前です。課長より大きな手だったら気持ち悪いでしょ」
「ああ、そうだな。背も小さいしな」
手を離した課長。今度は、私の頭に手を乗せた。
「そんなに小さくないですよ! ほらっ」
課長の隣で背伸びをしてみせた。
無理に伸ばした首。顎が課長の肩先についた。
「無理するな、山田は小さい方が似合ってる」
私の方を見おろす課長。顔がうんと近くなっていた。
「?……眉毛の上にもホクロか?」
課長がますます顔を寄せてきた。私の眉毛を見ている課長。
「違った。毛玉だ」
ーーー毛玉?! 何? セーターのかな?
焦りまくる私に課長が言う。
「目を閉じろ」
「はい?」
「急げ」
せかされて、目を閉じた私。