恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
2人きりのオフィス。
無音のフロアにドキドキしていた。
ふぅ……
小さく息が眉毛の辺りにかけられた。
「取れた」
眉毛についていた毛玉を課長が息でとばしたようだ。
「ぐるるるぅ」
お腹が静かなフロアに響いた。
「豪快だな。早く何か食べさせないと俺が食われかねないな」
課長が真面目な顔で言った。
ーーー食わないわよ。課長なんか筋ばってまずそ〜じゃん。
先にフロアを出る課長を追い慌てて廊下へ出る。
ーーー全く歩幅ぐらい合わせなさいよ。
無駄に足の長い課長の背中を睨みながら、ひょこひょこついて歩く。
ーーーあ〜なんだかどっと疲れた気がする。
肩を揉みながら、エレベーターに乗り込む。
ドアが閉まって、また2人きりの密室。
いつもは緊張しないのに、課長がエレベーター内の壁に寄りかかり、じっと私を見ているから、やけに緊張していた。