恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
ぎゃあぎゃあ言いながら、うどんを食べ店を出た。
「ご馳走様でした」
一応、礼は言っておく。例え、うどんでも。例え、天ぷらを半分食べられてもだ!
「おい、どこに行くんだ?」
駅では無い方へ歩き出した私に課長が声をかけてきた。
「少し飲みに行くんですよ。物足りないから」
「やめとけ。肥るぞ」
「いいんですよ。食事が物足りないから飲んで心を落ち着かせます」
並んで同じ方向へ歩く課長。
「課長、なんなんです?」
「付き合おうと思って。女の1人飲みじゃ悲しすぎるだろ」
「大きなお世話ですよ!」
「わかった! ひょっとすると…あえて1人で飲み屋に行くのは……ナンパされたいのか?」
握った拳を課長のスカした顔にめり込ませたかった。
ーーームカつく奴! お前なんか、早く帰ってしまえ!
「お疲れ様でーす」頭を下げ急いで走った。課長から逃げるためだ。
ーーーやった! 追ってこないじゃん。
かなり歩いてから振り返ると、課長の背中が遠く見えた。
ドン!
振り返り過ぎて、周りをキチンと見ていなかったから、思い切り誰かにぶつかってしまった。
「あ、すみません!」
「いてててっ」ぶつかってしまった男は、尻もちをついていた。
「ごめんなさい。あの、大丈夫ですか?」
手を差し出して、男が起き上がるのに手を貸した。
男は、ニヤニヤして私の差し出した手を掴み起き上がった。