恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
軽いキスのあと、やっぱり驚いた表情の課長。
「また、そんな顔か。山田とキスするたびに俺は自信が無くなりそうだ」
「か、勝手にキスしないで下さい! 課長! 今度したら殴りますよ!」
拳を振り上げて見せた。
「殴る? 俺は、キスしてありがたがられても殴られた覚えは無い」
「ばっかみたい! ありがたがる? 課長、うぬぼれもいい加減にしてもらえます?」
「うぬぼれ? そんなのも初めて言われた」
「この際だから、言います! 私、課長が大嫌いですから!」
少しだけ黙る課長。
ーーー大嫌いは言い過ぎたか?
しかし、私の思いは大きく的を外れていた。
「困るな。そんなにアピールされても……山田は俺のタイプじゃない」
ーーーアピール? 課長は、頭がおかしいのか?
「あの、話聞いてました? 大嫌いなんですよ!」
「大嫌いは、大好きの裏返しだろ?」
真面目な顔している課長。
ーーー殴りたい。中学生じゃあるまいし大嫌いが大好きの裏返し? そんなまどろっこしいことしないから!
馬鹿馬鹿しい出来事を無かったことにしたくて、カクテルを一気に飲み干した。