恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜




「少し、好きになってきただろ?」
ハグしたままで聞いてくる課長。

「は? こんなんでなりませんよ」
課長の腕から逃れようと必死にもがいた。その間、おそらく実際は何秒かだろうが、私には果てし無く長い時間に感じられた。


やっと、力技で離れた私をため息交じりに見つめてくる課長。

「はぁ〜なら、一度……手っ取り早く寝てみるか? 好きになるだろ。俺に抱かれてみろ」

「だ、抱かれてみろ? それ、完全にセクハラ発言! ビックリしたぁ……ありえませんから! 絶対に抱かれません」

私の言葉にマスターが初めてこちらを見た。

ーーーやっぱり、日本人じゃないよね。あの顔。

マスターは、嘘ひげを指先で触っていた。


「体の繋がりが愛情に変わることもあるだろ?」


「知りません」

ーーー知りたくもない。馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。
課長の中身は、きっと発酵し過ぎて腐りきっている。

私は、背の高い課長を見上げた。スラッとしたスリムな体型、長い手足、そしてモデルみたいに整った顔立ち。

ーーー男性のファッション雑誌でスーツを着こなす表紙のモデルみたいだ。中身は、最高にカッコ悪い。


認めたくないが課長は、外見は相当カッコいい。

だが……





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