恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「ミイラか……それも悪くないか」
「え? 課長」
課長を見上げると、課長が私を見ていた。
ーーーなんなの? その目。イケメンすぎなんだけど……。
課長の瞳は、決してギョロ目ではない。でも黒目が大きくて、くっきりした二重瞼で……。
ーーー日本人じゃないみたい。って言うか、そんなに見られると穴があきそう。
じんわりと手汗をかいていた。
繋いでいる手が、熱く感じる。
「ユイカ」
ーーーえ〜〜ここで名前呼ぶ? 照れまくりなんだけど。それに……いつまで私を見てるの?
「あの、課長」
「課長じゃない。ここは会社の外だ」
「上野さん、手を一回離してもらえます? 手汗を拭きたくて」
「拭かなくても俺なら平気だ。興奮してれば人は汗をかく。それに、どうせまた繋ぐから汗をかくだろ? お前が」
ーーー私が? 自分は汗なんかかかないみたいな言い草じゃん。まったく、どうせ私は興奮しっぱなしの汗だく女ですよ!
イライラした。どうして課長とこんな思いで手をつながないといけないのか?
イライラついでにホームに入ってきた電車に乗り込もうとして、課長に言いたかったことを思い出した。
「あ! 課長、課長に言いたいことがあったんですよ」
「なんだ?」
電車に乗り、乗った方ではない反対側ドアの近くの角にある手摺付近にもたれた。
課長は、私の横に立った。