恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「課長……」
ーーー他にも空いたじゃん。隣にすわらなくてもさぁ。
私の嫌そうな顔に気がついたのか、課長が言い始める。
「なんだ? 俺は空いた椅子に座ったらいけないのか?」
「何も言ってませんけど……」
「で、お前。なんで俺のせいで眠れなかったんだ?」
「あ、それ、聞く気になりました?」
「だから、今聞いてるだろが」
駅に電車が着いて人がドアから出入りする。
その間に私の手は、課長に握られていた。
ーーー課長ってば、よく手、握るなぁー。今までの女にも、こうしてきたのかなぁ。正直うざいでしょ。ここまで握られると。
緊張するよりか、うざい気持ちで膝に持ってかれた自分の手を見た。
ーーーそもそも何で、課長と手をつながないといけないのか? わからない。皆目検討もつかない。
それでも課長の綺麗な指にみとれていた。
ーーー綺麗なのは、顔だけじゃないわけか。だとすれば、他の部分も綺麗なんだろうか? 例えば、すね毛も腕毛も薄いのか? それとも濃い顔だから、体毛は濃いのか?
「おい、じろじろ見てないで答えろ」
「あ、はい。そうでした。その前に……課長は体毛って薄い方ですか? 濃い方ですか?」
私の質問に課長は、目を丸くしていた。