恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
マンションにつき、丁度一階にきていたエレベーターに乗った。
階数ボタンの近くに立つ課長。
「課長、4階も押して下さいよ」
自分の階のボタンしか押さない気が利かない課長にムッとしながら頼んだ。
「必要ないだろ」
「は?」
相変わらず手を繋がれたまま、課長が耳元で囁く。
「ほら、体毛を見たいんなら……お前が見たい所、全部見せてやる」
「見たい所? 全部って、あの、それ」
かあっと熱くなる体。
ーーー全部って、全部? 見ない見ない!
「結構です! 課長、そういう趣味ですか?」
「なんだ?」
「露出な趣味ですよ!」
「馬鹿。そんな趣味は、全くない。お前が見たいというからだろ。俺は、やたらと女を家には誘わない」
マジな顔して、課長は私を見る。
ーーーなに? この顔。マジで言ってる?
「ユイカだから、誘ってる。口実をつけてな……」
少し微笑んだ課長。
思わず、エレベーターを課長と一緒に降りそうになる。だが、足に力を入れた。
ーーーふー危ない。うまいこと乗せられて降りてしまう所だった。
「おりません。おやすみなさい!」
手を離してエレベーターのボタンを押した。
エレベーターのドアが閉まる時、何だか知らないが、手の感触がやはり残りすぎていたし、課長の何とも言えない表情を見て少し胸が……変になった。
向こう側にいる課長が手を伸ばし、腕を掴みエレベーターから私を降ろす。