桃色クレヨン
詩乃からメールが来なく、明日から夏休みだという頃に。
『はい。』
そう天宮は渡した。
それは前に完成したら見せてっと言った絵だった。
『スッゴク綺麗。』
俺は涙を流した。
『秋山くん、どうしたの?』
『いや…なんか涙がとまらなくてさ…なんでだろうね。』
そう言うと天宮は俺を抱き締めた。
『天宮…?』
『泣きたいときには泣いていいんだからね。』
そう強く抱き締めた。
俺は泣いた。
あの夕日が昔、詩乃と見た夕日に見えたのだ。