愛鍵ロマンス〜今夜も先生と〜
「捨てられたんです。」
「…は?」
男は意味がわからないというように私を見る。
「私…。」
いつものようにバイトが終わって家に帰った。
すると、家はもぬけの殻だったのだ。
日常品…冷蔵庫、エアコン、私の布団、お父さんお母さんの布団ーー
すべてがなくなっていた。
私はまず隣に住んでいる岡本さんに聞いてみた。
『あれ、柚ちゃん?どうしたの?引越しじゃなかったの?もうお母さんたちは先に行っちゃったよ。』
と、そう言った。
うちは生活が厳しかった。
自分の学費とかも私がバイトで自分で稼いでいた。
お父さんの会社が倒産しそうなのも知っていた。
けど、まさか
黙っていなくなるなんてーー