愛鍵ロマンス〜今夜も先生と〜
「そうか…。」
男はそうつぶやくと微笑んだ。
「…?」
「じゃあ、うちに来ないか?」
「えっ」
うそ…嘘⁈
「え、でも私…っ。」
「俺を信用できない?知らない人だから?」
「え、いや、その…。」
そりゃあ確かに助けてくれたし親切にしてくれたりしたけど…っ
「でもでもあのっ…。」
「男と2人では住めない?」
「それも、えっと、そうですけど…じゃなくて!」
私はテーブルに手をついて立ち上がる。
ガタッという音がする。
「私お金持ってないですし!」
私はそういうと、男は笑いだした。
「いやいや、そんなの求めてないよ。通帳も財布も持ってそうにないしね。」
…確かに。
だってこの人に連れて行かれた時、下着1枚だったし…って、え?
「あっ、あ、あのっ!」
「ん?何?」
「きききき昨日は」
焦った様子で私が聞くと、何かを察したように男はくすくすと笑う。
「あ、それ俺の服ね。昨日君、下着1枚だったから、俺の家まで来る時も俺のシャツ着せて運んだんだよ。」
…?
昨日この男はワイシャツ1枚で私のところに来た…ような気がする。
てことは、
「帰りは…上半身裸で私を運んだんですか?」
そう聞くと、さっきまで余裕な態度だった男は少し焦った様子をみせる。
「し、仕方ないだろ。だって…ほら。」
そう言って、頭をかく。
「…ふっ…あははっ」
私は笑いだした。
だって誘拐犯みたいじゃない?
半裸の男が女の子かかえてるなんて。
笑える。
「ちょ、バカっ、笑うなよ!恥ずかしかったんだから!」
「あははははっ…」
「も〜」
男は困った顔をする。
それがさらに面白い。
あれ?私こんなに笑ったのいつぶりだろ…。